文章を上手に書くコツ
高校生のテスト対策と受験指導は僕も小論文・文型科目全般を中心に行っています。
昨日は国語(文学)の対策を行いました。
文学国語と言っても評論に近い文章もありますので内容・意味ごとに区切る「意味段落」で全体をいくつかの段落に分け、どのように論理が展開していくのかを説明しました。
その前に音読は行ってもらいましたが、テストで漢字の読み書きは出ますので「読みのチェック」と「文章を通しで読む」作業をすることで「一部しか読んでいない」という状況を無くすことができます。
本題はここから。
記述式の問題に関してどう答えるかでその時点での生徒さんの力が分かります。
例えば「この部分で筆者はどのように考えているか」という設問に対し回答に時間がかかりすぎる、抜き出しになってしまっている場合は表面上の文字を追っていることがほとんどです。
「AだからB」「BだからC」「結果としてAだからC」という論理の積み重ねができると正答率はかなり高まりますし、よく考えているということがわかります。
実は大学入試の際の小論文も同じことが言えます。
実際に出題頻度が高い「高齢者ドライバーの事故を防ぐためには」というテーマが与えられたとしましょう。
この段階で皆さんが考えることはおそらく以下の通りになるはずです:
・認知機能が低下している場合がある
・認知機能検査を厳しくするべき
・免許返納を促すべき
・そうすれば事故は減る
これは僕もそうですが一番最初に思いつく考えですね。
小論文の時事ネタ本などを読んでもだいたい同じような内容で書かれています。
それでは免許返納を行う(った)際に発生する以下の問題はどれくらい思いつくでしょうか。
・誰が返納を促せば納得してくれるか
・そもそも返納したがらない人がいるのはなぜか
・返納後の生活は(都市部と地方の差)
・そもそも高齢者だけが事故を起こすのか
教室の生徒の皆さんに毎年書いてもらうテーマですが「免許返納に関連して発生する問題」に関してはなかなか思いつきにくいですね。
「高齢者ドライバー」についての本を読むと問題点と解決策が見えてきますが、予備知識があまりないと問題点から解決策への論理構成がおかしくなる場合があります。
端的なのが3番目の「返納後の生活」です。
都市部はバスや電車網が発達しているのであまり不便さは感じませんが、地方ではバスは1時間に1本、最寄り駅まで徒歩30分は普通にありますし実際僕の実家も同じような状況です。
病院やスーパーに行くにも車が必要。
ですから免許返納が難しいという現実問題があります。
少し長くなりますが続けますね。
ここで論理構成が深く練れていない人は「国や地方自治体がタクシー代を補助したり、バスの本数を増やす」という方向に結論を持っていく傾向にあります。
その段階で僕からアドバイスすることは「国のお金を当てにしないように」「今人員不足で千葉市でもバスの運転本数が減っていますね」です。
さあどうするか。
ここからは頭で汗をかいてもらうのですが解決するためのアイデアは出てくるはずですし、出さないと小論文が完成しない=本番で違うテーマでも論理一貫した文章が書けないということになります。
解決方法は一つだけではないので何か一つのポイントに着目してそれを深掘りする方法でも良いと思います。
専門家の皆さんもどうすべきか考えている問題ですし、学生さんに完璧な解決方法を求めているわけではないからです。
採点者がチェックしたいのは「文章を筋立てて書くことができているか」ということです。
高齢者ドライバーの問題に関しては医療系・法学系での出題を実際に教室で経験しています。
もちろん社会問題ですので他の学部系統でも出題されやすいと言えます。
ここ数年の傾向としてはAIに関連する出題も増えています。
一回まとめます。
文章を上手に書くコツとしては:
・予備知識を持っておく → 特に難しく考えずニュースなどに触れて識者のコメントを参考にしておく
・論理構成を意識する → シンプルに「AだからB」でもよいので主語と述語を意識する(文章が長くなると乱れる人がいます)
・見直しを行う → その文章で大丈夫か、特に重複表現がないかなど全体のチェックは大事です。
・書き直す → 完成形まで何度も書き直すことで文章は上手になります
指導の際にはさらに踏み込んで細かいチェックを行っていますが、コツがつかめると生徒さんから「ここはこの内容・表現にしたのですがどうでしょうか」とアイデアを出してくるようになります。
そこまで行けば基本的に本番ではうまくいくと言えます。
国語力=読解力・リテラシーはすべての科目に共通します。
国語が苦手という人は「なぜその答えなのか」を考えてみましょう。
「考えること」自体が勉強につながります。
※イベントやキャンペーンは教室ごとに異なります